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阿部 浩之; 徳平 真之介*; 内田 裕久*; 大島 武
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 365(Part A), p.214 - 217, 2015/12
ニッケル水素電池の負極材として広く使用されている水素吸蔵合金LaNiAlに対して、keVからMeVオーダー領域での重イオン照射を行い表面改質を図った。これまでに、水素吸蔵合金に対してイオン照射することで水素吸蔵能が向上すること、表面付近に形成された酸化被膜等により吸蔵能が影響されることを明らかにしている。そこで今回は、酸素イオンを選択し、試料表面付近に酸素注入できるkeVから内部まで侵入させることのできるMeVオーダーまでのエネルギーで、110cmまでのフルエンスを照射した。その結果、酸素イオン照射した試料は水素吸蔵初期反応速度が未照射に比べ数倍向上すること、表面付近に酸素を導入できるkeVオーダーの照射はMeVオーダーの照射に比べて水素吸蔵初期反応速度の向上に有用であることが判明した。
関口 哲弘; 馬場 祐治; 下山 巖; Nath, K. G.
Surface and Interface Analysis, 38(4), p.352 - 356, 2006/04
被引用回数:3 パーセンタイル:7.16(Chemistry, Physical)部分電子収量(PEY)法と光刺激イオン脱離(PSID)法とを組合せた新しいX線吸収端微細構造(NEXAFS)分光法の開発を行った。その開発された検出器を用いてFイオン照射により表面修飾を施したグラファイト最表面における結合配向を調べた。PEY法により測定されたフッ素1s内殻励起準位の角度依存NEXAFSスペクトルには大きな偏光角度依存は認められなかった。それに対し、飛行時間質量分析法によりFイオンを検出し、その収量を縦軸とするNEXAFSスペクトルを得た。Fイオン収量スペクトルは吸収スペクトルと異なり=C-Fサイトに由来する*(C-F)励起において強度増強された。またそのピークのみピーク面積が顕著に偏光角度に依存した。イオン脱離と二次電子放出のそれぞれの観測深さを見積もり考察を行った。イオン収量XAFSは表面敏感であり、電子収量XAFSはバルク敏感であると結論した。またHイオンやFイオンの収量XAFSスペクトルも表面構造や解離・脱離過程に関して有用な知見を与えることもわかった。
本橋 嘉信*; 柴田 大受; Harjo, S.*; 佐久間 隆昭*; 石原 正博; 馬場 信一; 沢 和弘
Proceedings of 14th International Federation for Heat Treatment and Surface Engineering Congress Transactions of Materials and Heat Treatment Vol.25 No.5, p.1032 - 1036, 2004/10
高温で超塑性特性を示す3Y-TZP(3mol%イットリア含有正方晶ジルコニア多結晶体)に、日本原子力研究所東海研究所のTANDEM加速器を用いて+11価,130MeVのZrイオンを照射した。照射によるはじき出し損傷はTRIMコードにより解析し、照射による機械的特性及び破壊様式の変化,その後の焼き鈍しの影響,微小硬度計の押込み深さと照射表面からの深さとの関係について検討を行った。その結果、照射直後の試験片では、表面に圧縮応力が生じ、硬さと破壊靭性の増加が観察された。また、その後の焼き鈍しでは温度の増加に伴いこれらの変化が徐々に緩和した。これらの原因としては、照射により粒界間の結合力が弱められたためであると考えられる。
寺岡 有殿
ナノテクノロジー大事典, p.340 - 351, 2003/12
我が国における放射光を用いた微細加工の研究の現状をレヴューした。SR励起加工を大項目とし、その下に中項目としてSR励起表面改質,SR励起結晶成長,SR励起エッチングを設けた。中項目のSR励起表面改質の下に小項目としてSRガス励起表面改質とSR直接励起表面改質を設け、中項目のSR励起結晶成長の下に小項目としてSR励起原子層エピタキシーとSR励起化学的気相成長を設け、中項目のSR励起エッチングの下にSR直接励起エッチング,SRガス励起エッチングとSRアブレーションを設けてレヴューした。
MC'02企画委員会
JAERI-Conf 2003-001, 451 Pages, 2003/05
第3回材料化学国際シンポジウム(Third International Symposium on Material Chemistry in Nuclear Environment, MC'02)が、平成14年3月13日~15日の3日間、原子力基盤技術クロスオーバー研究の一環として、筑波研究交流センターで開催された。これまで、当該シンポジウムは原子力材料クロスオーバー研究グループが中心となって第1期(89~93),第2期(94~98)の各節目にそれぞれMC92,MC96として開催され、今回の第3期では計算科学及び陽電子ビームクロスオーバー研究グループと合同でMC'02として開催した。MC'02では、特に発電炉,再処理,核融合,加速器等の原子力技術の高度化に不可欠な複合環境用材料の課題と材料開発,計算科学,環境適応性評価技術等の最新技術開発動向に関して、国際的な専門家を集めて活発な討論が行われた。
西堂 雅博; 山田 礼司
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 39, p.599 - 602, 1989/00
被引用回数:2 パーセンタイル:45.25(Instruments & Instrumentation)酸素雰囲気においてMoおよびTiCをイオン照射した際誘起される表面改質過程を、オージェ電子分光法および、二次イオン質量分析法により調べた。アルゴンイオンおよび重水素イオンを用いて、照射イオン種の効果も合わせて調べた。
富永 五郎*; 中村 和幸; 村上 義夫
JAERI-M 83-112, 21 Pages, 1983/07
核融合炉の真空容器を高温にべークアウトすることは装置の設計に多くの制約を課し、コストの上昇にもつながるので、べークアウトせずにガス放出速度の小さい真空壁状態を実現すること(常温排気法)の研究は核融合炉の主要な研究開発項目の一つである。わが国における最近の研究を総合すると、ステンレス鋼やアルミ合金の場合表面に結晶性の稠密な酸化皮膜を形成すると常温でのガス放出速度低減に効果があるという一つの仮説が立てられるようである。この問題をさらに発展させるために、酸化皮膜からのガス放出機構の解明および窒化皮膜、炭化皮膜における同様な研究が望まれる。
楢本 洋
Ionics, 9(4), p.31 - 38, 1983/00
耐熱性絶縁体として有用なサファイア(d-AlO)結晶に着目して、イオン注入後の焼鈍に伴う構造変化及びそれに対応した物性変化測定に関する研究を解説する。構造解析については主としてイオンビーム解析の結果を取上げ、物理的・化学的性質への影響に重点を置く。